「鵜の目鷹の目」は、文章や会話の中で見かけることの多い日本語の慣用句です。
聞き慣れた表現でも、正確な使い方や語源、似た意味の言葉まできちんと理解している人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、この「鵜の目鷹の目」という慣用句について、意味、例文、使い方、類語・対義語、由来、英語表現までをわかりやすく解説しています。
「鵜の目鷹の目」をより深く理解し、表現力を高めたい方はぜひ参考にしてください。
慣用句「鵜の目鷹の目 」の読み・意味は?
(鵜や鷹が獲物を捜すように)鋭い目で物を捜すようす。出典:デイリーコンサイス国語辞典
「鵜の目鷹の目(うのめたかのめ)」とは、鋭い目つきで何かを懸命に探し求める様子を表す慣用句です。
水中の魚を見逃すまいとする鵜の目や、空から獲物を狙う鷹の鋭い眼光にたとえて、人が何かを注意深く、あるいは執念深く探しているさまを意味します。
探し物をしているときはもちろん、情報や証拠、チャンスなどを見逃すまいと目を光らせているような状況にも使われます。
真剣な眼差しを強調する表現でありながら、時に「必死すぎる」「目を光らせている」といったやや批判的・皮肉なニュアンスを含むこともあります。
日常会話からビジネスシーンまで、鋭い観察や探求を強調したい場面で用いられる言葉です。
「鵜の目鷹の目 」の例文・使い方
「鵜の目鷹の目」という慣用句は、何かを真剣に探す様子や、周囲を鋭く観察する態度を表現したいときに使われます。
探し物や情報収集の場面はもちろん、人や物を見極めようとする視線に対しても用いられます。
また、この表現にはやや必死すぎる印象や、監視のような冷たいまなざしといったニュアンスが含まれることもあるため、使い方には注意が必要です。
文脈によっては、相手に警戒心を抱かせたり、皮肉めいた印象を与える可能性もあります。
以下に具体的な使用例をいくつか紹介します。
使いどころとしては、「集中して何かを見ている/探している」場面であれば、人物・動物・職業を問わず幅広く応用できます。
話し言葉でも書き言葉でも自然に使える便利な表現です。
「鵜の目鷹の目 」の同義語・言い換えや類義語は?
「鵜の目鷹の目」は、鋭い目つきで何かを探し求める様子や、周囲に細心の注意を払う態度を表した慣用句です。
この表現と似た意味を持つ言葉や、場面に応じて言い換え可能な表現も複数存在します。
言葉のニュアンスや使用シーンに合わせて使い分けることで、より表現に深みが出ます。
以下に主な同義語・類義語を紹介します。
同義語・類義語 | 意味 | 例文 |
虎視眈々(こしたんたん) | じっと機会をうかがいながら、冷静に準備を整えている様子を指す四字熟語です。「鵜の目鷹の目」と同様に、鋭い視線で注視している姿を表しますが、こちらは特に「好機を狙う」ニュアンスが強めです。 | 彼は虎視眈々と次の昇進のチャンスをうかがっている。 |
目を光らせる | 注意深く見張る、監視するという意味で使われます。「鵜の目鷹の目」と同様に、周囲の状況に鋭く目を配っている様子を表す言い換え表現です。 | 万引き防止のため、店員たちは目を光らせていた。 |
刮目(かつもく)する | 「目をこすってよく見る」の意から転じて、注意してよく見る/注目するという意味になります。「鵜の目鷹の目」との違いは、「探す」というよりも「注目に値するものを真剣に見る」点にあります。 | 今後の彼の活躍には刮目すべきだ。 |
目を皿のようにする | 目を大きく見開いて探す様子を表す慣用句で、探し物に集中している場面によく使われます。 | 彼は目を皿のようにして落とし物を探していた。 |
血眼(ちまなこ)になる | 感情をあらわにして、何かに夢中・必死になる様子。やや切迫感や悲壮感を伴う表現です。 | 彼は血眼になって証拠を集めていた。 |
狙う(ねらう) | 具体的に「ターゲットを定めて行動する」意味を持つ動詞で、鋭い視線や意図を持った行動を示します。「鵜の目鷹の目」同様、物やチャンスに対する執着・集中のニュアンスがあります。 | ライバル企業はこの市場を本気で狙っているようだ。 |
これらの表現はそれぞれ微妙な違いがあるものの、観察・警戒・集中・探求・狙撃的な視線といった共通したイメージを持っています。
文脈や語調に合わせて適切な言葉に言い換えることで、文章により深みと表現の幅が生まれます。
「鵜の目鷹の目 」の由来・語源は?
「鵜の目鷹の目」という慣用句は、鳥の鋭い視線にたとえて、人間が何かを注意深く、あるいは執念深く探す様子を表現した言葉です。
その成り立ちは、実際の鳥の行動に基づいた非常に視覚的でわかりやすい比喩から来ています。
まず「鵜(う)」とは、水中に潜って魚を捕まえる鳥で、目を研ぎ澄ませながら水中の獲物を追う姿が特徴です。
一方、「鷹(たか)」は空高く舞いながら、鋭い視力で地上の小動物を探し、素早く狩りを行う猛禽類です。
どちらの鳥も、獲物を見つけるために視線は強く、その鋭い目つきが印象的であることから、この慣用句が生まれました。
古くから民衆の間で使われてきた口語的な表現で、人の視線や探し物への執念深さを、鵜や鷹の狩猟本能にたとえて強調する言い回しとして定着しました。
このように、「鵜の目鷹の目」という言葉には、自然界の生き物の生態をもとにしたリアルな観察と、人間の行動との重ね合わせが込められており、日本語特有の感覚的な比喩表現として長く親しまれています。
「鵜の目鷹の目 」に関するQ&A
- 「鵜の目鷹の目 」の対義語は?
- 「鵜の目鷹の目 」を英語で言うと?
- 「鵜の目鷹の目 」は良い意味?悪い意味?使い方に注意は?
「鵜の目鷹の目 」に関するよくある疑問は上記の通りです。
ここからそれぞれの疑問について詳しく解説していきます。
「鵜の目鷹の目 」の対義語は?
「鵜の目鷹の目」という慣用句は、鳥の鋭い視線になぞらえ、人が何かを非常に注意深く、執念深く探す様子を表します。
ここでは、この言葉のと反対の意味を持つ表現、対義語をご紹介します。
対義語 | 意味 | 例文 |
ぼんやり | 注意力が散漫で集中できていない様子を表します。物事に対してしっかりと意識を向けていない状態で、「鵜の目鷹の目」のように鋭く探す様子とは対照的です。 | ・授業中、彼はぼんやり窓の外を見ていて、先生の話をほとんど聞いていなかった。 ・重要な書類を探していたのに、ぼんやりしていて全然見つからなかった。 |
無関心 | 物事に対して全く興味や関心を持たない状態を指します。注意深く探す「鵜の目鷹の目」とは対照的に、関心がなく探そうとする意欲もほとんどない様子です。 | ・彼は周囲の出来事に無関心で、自分のことしか考えていない。 ・環境問題に無関心な若者が増えていると言われている。 |
漫然(まんぜん) | はっきりとした目的や意識がなく、ただ何となく物事を行っている状態を指します。目的意識が薄く、集中していない様子で、「鵜の目鷹の目」の真逆です。 | ・漫然と時間を過ごすのではなく、目標を持って行動しよう。 ・漫然と仕事をしていては、成果は期待できない。 |
「鵜の目鷹の目 」を英語で言うと?
「鵜の目鷹の目」という慣用句は、非常に注意深く、執念深く何かを探す様子を表します。
英語でも似たような意味合いを持つ表現がいくつかありますが、完全に直訳できるフレーズはありません。
そのため、意味に近い表現で説明することが一般的です。
英語表現 | 意味 | 例文 |
With eagle eyes | 「鷹のような目で」という意味で、非常に注意深く見る様子を表します。 | She searched the document with eagle eyes. (彼女は文書を鷹のような目で注意深く調べた。) |
Keep a sharp eye out (for something) | 「何かに対して鋭い目を光らせる」という意味で、注意深く見張る時に使います。 | The security guard kept a sharp eye out for suspicious activity. (警備員は怪しい動きを注意深く見張っていた。) |
Be on the lookout (for something) | 「(何かを)見張る、注意して探す」という意味で、広く使われる表現です。 | The police were on the lookout for the missing child. (警察は行方不明の子どもを探していた。) |
Scour (something) with eagle eyes /a keen eye | 「鋭い目で(何か)をくまなく探す」というニュアンスがあります。 | She scoured the room with a keen eye for any clues. (彼女は手がかりを見逃さないよう鋭い目で部屋をくまなく探した。) |
「鵜の目鷹の目」を英語で表現する場合は、「eagle eyes」や「keep a sharp eye out」などのフレーズが近い意味を持ちます。
ただし、日本語のように鳥を二種類使った決まった慣用句はないため、状況に応じて適切な表現を選んで使うのが一般的です。
「鵜の目鷹の目 」は良い意味?悪い意味?使い方に注意は?
「鵜の目鷹の目」という言葉は、鋭い視線で何かを熱心に探し回る様子を表す慣用句です。
鳥の本能的な動きを比喩として用いていますが、この表現にはポジティブな意味とネガティブな意味の両面があります。
使う際には文脈に応じた注意が必要です。
良い意味で使う場合
「集中力が高い」「目を光らせている」「抜かりがない」といった前向きな評価として使うことがあります。
→「注意深く、頼れる人」という肯定的なニュアンスです。
使用場面としては、警備、検品、編集作業など、細かいところまで目を配る必要がある状況や真剣に何かを探しているときがあります。
悪い意味で使う場合
一方で、「欲深く探し回る」「がめつく目を光らせる」といった、少しネガティブなニュアンスを含むこともあります。
→「熱中しすぎて周囲が見えていない」印象を与えることも。
使用場面としては、物欲や利得を求めて目を光らせる様子や周囲に圧迫感や落ち着きのなさを与える状況があります。
使い方の注意点としては、対象の行動に対して使うべきで「鵜の目鷹の目のように探している」など、第三者や物事に向ける視線として使うのが自然です。
皮肉や揶揄としても使われることがあり、文脈によっては「必死すぎてちょっと滑稽」といった意味合いで受け取られる場合もあります。
以上のように、「鵜の目鷹の目」は、鋭い目で熱心に探す様子を表す表現ですが、その熱心さが「頼もしい」と映るか「必死すぎて滑稽」と映るかは文脈次第です。
相手や場面に応じて、使い方には少し注意を払うのが良いでしょう。
まとめ:「鵜の目鷹の目 」の意味・例文を理解しよう
「鵜の目鷹の目」は、水中の魚を狙う鵜や、高空から獲物を見つける鷹の鋭い視線になぞらえて、人が何かを非常に注意深く、または執念深く探す様子を表した表現です。
その意味合いは、細かいところまでしっかり目を配るという肯定的な場面でも使えますが、一方で、がめつさや必死さをやや皮肉を込めて表す場面でも使われます。
使う際には、その文脈が前向きか皮肉かによってニュアンスが変わるため、言葉の力加減には注意が必要です。
日常会話からビジネス、文章表現まで幅広く使える便利な慣用句ですが、相手や場面を意識して、的確に使えるようになれば、表現の幅がぐっと広がります。
「鵜の目鷹の目」のような言葉を深く理解することで、言葉の背景にある文化や感覚にも触れることができます。
ぜひ、あなたの語彙にも加えて、豊かな日本語表現を楽しんでください。