「眉に唾をつける」の意味・使い方は?例文・類義語・語源についても解説!

「眉に唾をつける」略して「眉唾」とも言われますが、この言葉は、何かが信じられない、あるいは疑わしいと感じることを表現する際に使われます。

この記事では、「眉に唾をつける」の意味や正しい使い方、具体的な例文、類義語、そして語源について詳しく解説します。

「眉に唾をつける」の意味と正しい読み方

意味:だまされないよう用心する。まゆつば 出典:デイリーコンサイス国語辞典

「眉に唾をつける」という言葉は、「まゆにつばをつける」と読み、何かが信じがたく疑わしいと感じられることを指します。

この表現は、人にだまされないように用心することを意味し、狐や狸に化かされないためには眉に唾をつけるのがよいという古い俗信に由来しています。

略して「眉唾(まゆつば)」や「眉に唾する」「眉に唾を塗る」とも言い、同じ意味を持ちます。

現代においては、怪しい話や疑わしい情報に対して警戒する際に、「眉に唾をつける」という表現が使われます

例えば、「その話は眉に唾をつけて聞いたほうがいい」というように、信じられない・疑わしい・信頼できないという意味合いで用いられます。

「眉に唾をつける」の使い方と例文

以下に「眉に唾をつける」を使った例文を紹介します。

彼の言うことにはいつも大げさなところがあるから、「眉に唾をつけて」聞くようにしている。
そのビジネスチャンスが本当に儲かるかどうか「眉に唾をつけて」、慎重に検討するべきだ。
友人が教えてくれたダイエット方法は「眉に唾をつけて」聞く必要があると思う。
あの企業の業績発表には「眉に唾をつけて」おいた方が良い、過去にも誇張があったからね。
彼女の話はいつも面白いけど、「眉に唾をつけて」聞かないと信じられない部分も多い。

これらの例文の通り、「眉に唾をつける」は他人の話や情報に対して信じがたいと感じる要素がある場合に使われます。

「眉唾もの」の使い方と例文

「眉に唾をつける」から派生した言葉に「眉唾もの」があります。

「眉唾もの」とは、疑わしい情報や信じがたい話、信用できない事柄を指す表現です。

この言葉の由来は、「眉に唾をつける」行為からきています。

「眉唾もの」の使い方としては、例えば

信憑性の低い話を指摘する場合に「あの噂は眉唾ものだから、簡単には信じないほうがいいよ。」、怪しい商品の宣伝に対して「このダイエットサプリの効果は眉唾ものだね。本当に効くかどうか疑わしいよ。」、都市伝説や陰謀論に対して「その陰謀論は眉唾ものだ。ちゃんとした証拠がない限り、信じるのは危険だ。」といった感じで使えます。

その他の例文を参考までに下記にご紹介します。

友人が語る成功話に対して

彼のビジネス成功談はちょっと「眉唾もの」だね。実際のところ、どうなんだろう?

インターネットで見かけた広告に対して

あの広告、「眉唾もの」だな。そんなに簡単にお金が稼げるなんて信じられない。

ニュースで報じられた驚くべき発見に対して

そのニュース、「眉唾もの」だよね。もう少し信頼できる情報源から確認したほうがいい。

「眉に唾をつける」の類義語

この記事では、「眉に唾をつける」の類義語や言い換え表現、それらの例文について詳しく解説します。

ことば
意味
例文
胡散(うさん)「胡散」は、「胡散臭い(うさんくさい)」という形容詞としても使われ、信用できない、疑わしいという意味を持ちます。例えば、彼の説明はどこか胡散臭い要素があって信用できないといったように使用されます。この言葉は、ある人や物事が信用できない、怪しいと感じられる状況を表します。
  • 彼の説明はどこか胡散臭い要素があって信用できない。
  • その新しい投資案件はどう考えても胡散臭くて、注意が必要だと感じた。
  • その商品の効果についての広告は胡散臭い。
荒唐無稽(こうとうむけい)「荒唐無稽」は、言動に根拠がなく、でたらめで現実味がないことを意味します。例えば、彼の話は完全に荒唐無稽で、まるでファンタジーのようだったというように使用されます。この表現は、話や情報が非現実的で信じがたいと感じられる状況を表します。
  • 彼の話は完全に荒唐無稽で、まるでファンタジーのようだった。
  • 彼女はネットへの荒唐無稽な書き込みが増え、頭を悩ませている。
  • あの雑誌の記事は荒唐無稽な噂を広めるだけで信用できない。
信憑性に欠ける

(しんぴょうせいにかける)

「信憑性に欠ける」とは、情報や主張が信頼できる根拠や証拠がなく、疑わしい状況を表します。例えば、そのウェブサイトの情報は信憑性に欠けるので、ほかの信頼できる情報源を探すべきだというように使用されます。この表現は、情報や主張の信頼性が疑わしいときに用いられます。
  • そのウェブサイトの情報は信憑性に欠けるので、ほかの信頼できる情報源を探すべきだ。
  • 彼の主張には十分な証拠がなく、信憑性に欠けると言わざるを得ない。
  • その報道は匿名の情報源に基づいており、信憑性に欠けると考えられる。
鵜呑みにしない

(うのみにしない)

「鵜呑みにしない」は、他人の言うことや情報をそのまま受け入れないことを意味します。例えば、その噂話は鵜呑みにしないほうがいいといったように使用されます。
  • 彼のアドバイスは鵜呑みにしないで、自分でも調べてみるつもりだ。
  • そのニュースは鵜呑みにしないで、他のソースを確認しよう。
話半分に聞く

(はなしはんぶんにきく)

「話半分に聞く」は、他人の話を全面的には信じず、慎重に受け取ることを意味します。例えば、彼の自慢話はいつも話半分に聞いているというように使用されます。
  • あの人の話はいつも大げさだから、話半分に聞いておいたほうがいい。
  • 新しい噂が広まっているけど、話半分に聞いておくのが賢明だ。

「眉に唾をつける」の語源(由来)

「眉に唾をつける」という表現の語源は諸説ありますが、最も一般的な説は、江戸時代の日本に由来します。

当時の日本では、狐(きつね)や狸(たぬき)などの妖怪が人間を騙すと信じられていました。

このような妖怪たちが人間の姿を借りる時に、人間の眉毛の毛の数を数えると言われてました。

そのため、人々は眉毛に唾をつけることで、狐や狸に化かされることを避けようとしたとされています。

この迷信から、「眉に唾をつける」という表現が生まれました。

元々は、狐や狸などの妖怪から身を守るための行為でしたが、後には信じがたい話や疑わしい情報に対する警戒心を表す言葉として定着することに。

具体的な発祥や時期についての詳細は不明ですが、「俚言集覧」という江戸時代中期の国語辞典にこの表現が登場しており、その時代から使われていたことが分かっています。

「眉に唾をつける」に関するQ&A

「眉に唾をつける」には、次のような質問がよくあります。

・「眉に唾をつける」の対義語は?

・「眉に唾をつける」を英語・中国語で言うと?

これら質問の回答を次にご紹介します。

「眉に唾をつける」の対義語は?

「眉に唾をつける」の対義語は辞書的に定義されていませんが、ここではその反対の意味を持つ「確かに、信頼できる」という意味の言葉をご紹介します。

対義語意味例文
折り紙付き(おりがみつき)「折り紙付き」は、絶対に保証できるもの、確かなものを指します。この表現は江戸時代に刀や書画などの美術品につけられていた鑑定保証書に由来します。鑑定保証書が折られていたことから「折り紙」と呼ばれるようになりました。
  • 彼は「折り紙付き」の交渉力を持ち、難しい問題もスムーズに解決することができる。
  • この案件は、彼女の「折り紙付き」のスキルによって成功することが確実だ。
  • 彼の魅力的なデザインは「折り紙付き」なので、商談は成功するだろう。
お墨付き(おすみつき)「お墨付き」とは、権力や権限のある人からの承諾や保証を指し、その文書を意味することもあります。この表現は、室町時代や江戸時代に将軍や大名が領地を保証・確認する文書に署名や花押(署名を図案化したもの)を墨で記したことに由来します。
  • その作品は才能とクオリティが充分であり、業界の専門家からお墨付きをいただいた。
  • その商品は品質の高さが評価され、消費者からお墨付きをいただいている。
  • 彼女の提案は独創的で具体的な内容を含んでおり、上司からお墨付きをもらった。
太鼓判を押す(たいこばんをおす)「太鼓判を押す」は、確かであることを強く保証する意味です。この表現は、昔の商人が商品に太鼓の形をした判を押して品質を保証したことに由来します。
  • そのレストランの料理はシェフが太鼓判を押すだけあって、一度食べるとやみつきになる。
  • 彼の計画には多くの専門家が太鼓判を押しているため、成功は間違いないだろう。
  • この機械は耐久性と性能においてメーカーが太鼓判を押している。
保証付き(ほしょうつき)「保証付き」は、品質や性能などが確かであることを示す言葉です。保証があることから信頼性が高いものに対して使われます。
  • この時計はメーカー保証付きなので、万が一の故障も安心です。
  • 彼の仕事は常に保証付きで、クライアントからの信頼が厚い。
  • その製品は品質保証付きで販売されているため、安心して購入できる。
正真正銘(しょうしんしょうめい)「正真正銘」は、嘘偽りがなく本物であることを意味します。真実性が疑われない状況に対して使われます。
  • 彼の成功は正真正銘の実力によるものだ。
  • この宝石は正真正銘のダイヤモンドです。
  • その賞は彼の正真正銘の才能が評価された結果です。

より信頼性や確実性を強調したい時には、これらの表現を使えば良いでしょう。

適切な場面でこれらの言葉を使い分けることで、より豊かに状況や感情を表現することができます。

「眉に唾をつける」を英語・中国語で言うと?

本記事では、「眉に唾をつける」と同じ意味を持つ英語と中国語の表現を紹介し、その背景や使い方を解説します。

英語の表現意味例文
Take it with a grain of salt「Take it with a grain of salt」は、情報や話を完全には信じないで、少し疑いを持ちながら受け取るという意味です。この表現の由来は、ローマ時代に遡り、解毒剤に塩を少し加えると効果が高まるという信仰から来ています。He says he’s a millionaire, but I take it with a grain of salt.
(彼は自分が百万長者だと言っているが、私はその話を半信半疑で聞いている。)
You should take anything she says with a grain of salt; she tends to exaggerate.
(彼女の言うことは何でも少し疑って聞いた方がいい。彼女は誇張する傾向があるから。)
Believe half of what you see and none of what you hear「Believe half of what you see and none of what you hear」は、見たものの半分しか信じず、聞いたことは全く信じるなという意味で、慎重な態度を取ることを勧める表現です。When it comes to gossip, it’s best to believe half of what you see and none of what you hear.
(ゴシップに関しては、見たことの半分だけ信じて、聞いたことは全く信じないのが一番だ。)
In the world of social media, remember to believe half of what you see and none of what you hear.
(ソーシャルメディアの世界では、見たことの半分だけ信じて、聞いたことは全く信じないように覚えておくこと。)
be on one’s guard「be on one’s guard」は、「警戒する」「用心する」という意味で、疑わしい状況や危険から身を守るために注意を払うことを指します。この表現は、日常会話でも頻繁に使われ、信頼できない情報や人物に対して慎重な態度を取る際に使われます。When dealing with strangers, it’s important to be on your guard.
(見知らぬ人と接するときは、警戒することが重要だ。)
She was on her guard during the entire negotiation process.
(彼女は交渉の過程全体を通じて警戒していた。)
After hearing rumors about the company’s instability, investors were on their guard.
(会社の不安定さに関する噂を聞いてから、投資家たちは警戒していた。)
be wary of trickery「be wary of trickery」は、「詐欺やトリックに警戒する」という意味で、誰かが騙そうとしている可能性を意識して注意深く振る舞うことを表します。この表現は、特に信頼できない情報や人物に対して警戒を促す際に使われます。Always be wary of trickery when shopping online from unknown websites.
(未知のウェブサイトでオンラインショッピングをする際は、常に詐欺に警戒すること。)
He was wary of trickery in the contract and read every clause carefully.
(彼は契約書の詐欺に警戒し、すべての条項を慎重に読んだ。)
The elderly are often advised to be wary of trickery to avoid scams.
(高齢者は詐欺を避けるために、常に詐欺に警戒するように助言される。)
中国語の表現意味例文
耳听为虚,眼见为实 (ěr tīng wéi xū, yǎn jiàn wéi shí)「耳听为虚,眼见为实」は、「耳で聞いたことは虚しく、目で見たことが真実だ」という意味で、聞いたことは疑ってかかるべきだという教訓を含んでいます。对于流言蜚语,我们要耳听为虚,眼见为实。
(ゴシップについては、聞いたことは信じず、見たことを信じるべきだ。)
在这个信息泛滥的时代,我们要学会耳听为虚,眼见为实。
(情報が氾濫するこの時代では、聞いたことは信じず、見たことを信じることを学ばなければならない。)
三思而后行 (sān sī ér hòu xíng)「三思而后行」は、「三度考えてから行動せよ」という意味で、何かを信じたり行動に移す前に慎重に考えることを勧める表現です。在做出重要决定前,我们应该三思而后行。
(重要な決断を下す前に、慎重に考えるべきだ。)
听到这些谣言后,他决定三思而后行,不轻易相信。
(これらの噂を聞いた後、彼は慎重に考え、簡単には信じないことに決めた。

以上のように、どの言語にも疑いを持って慎重に対応することの重要性を伝える表現が存在します。

「眉に唾をつける」の意味を理解しよう

この記事では、「眉に唾をつける」の意味、使い方、例文、類義語、そして語源について詳しく解説しました。

「眉に唾をつける」とは、何かが信じがたく疑わしいと感じられることを指し、その話や情報の信憑性に疑いを持つことを意味します。

この表現は、日常会話で頻繁に使われます。

正しい意味と使い方を理解して、日常のコミュニケーションで効果的に活用してみてください。