「急がば回れ」という言葉は、多くの場面で耳にすることがあります。
このことわざは、急いで焦るよりもゆっくりと確実な道を選ぶことの重要性を教えています。
しかし、その本質的な意味や使い方を正しく理解していない人もいます。
本記事では、「急がば回れ」の意味や使い方を詳しく解説し、例文や類義語、語源についても触れていきます。
人生の教訓としても応用できるこのことわざを、より深く理解することで、成功への近道を見つける手助けとなるでしょう。
「急がば回れ」の意味
意味:「性急な手段を取るよりも、手間はかかっても安全な道を取る方が結局は早い」 出典:デイリーコンサイス国語辞典
「急がば回れ」という言葉は、危険な近道よりも、遠くても安全で確実な方法を選ぶことが賢明であるという意味を持ちます。
急いで成果を求めるよりも、着実な方法を取った方が結局は早く成果が得られるという教えが込められています。
このことわざは、人生や仕事のさまざまな場面で活用され、慌てずに冷静に行動し、確実な道を選ぶことの重要性を示唆しています。
「急ぐならば回りなさい」という現代的な解釈からも分かるように、急いで物事を成し遂げようとする時には、安全で確実な方法を選択した方が結局は早いのです。
「急がば回れ」の使い方・注意点
「急がば回れ」の使い方は、物事を慌てて行うことが適切でない場合に助言や戒めとして用いられます。
具体的な例文を通じて、「急がば回れ」の使い方と注意点を確認しましょう。
この例から、「急がば回れ」は、慌てて物事を行うことで失敗やトラブルを招く場合に、冷静に考えて着実な方法を取るよう促すために使われます。
急ぐことで失敗や問題が生じた場合、後で修復や対処をするための時間や手間がかかることを示唆しています。
注意点としては、「急がば回れ」は単なるのんびりした行動を勧めているのではなく、確実性や安全性を重視するという点です。
急ぐ必要がある場合でも、無理をして危険な近道を選ぶのではなく、着実な手順や方法を選択することが大切です。
これらのポイントを踏まえて、「急がば回れ」は、急いで物事を成し遂げようとする時には、慌てず冷静に着実な方法を選ぶことが重要であるという教えを示しています。
「急がば回れ」の例文
以下は「急がば回れ」を使った小学生にも分かりやすい例文です。
「急がば回れ」の類義語
これらはすべて、急ぐことで失敗する可能性があるため、慎重に行動することの重要性を教えてくれます。
急いては事を仕損じる | 焦って行動すると、失敗しやすくなることを表します |
あわてるこじきはもらいが少ない | 慌てて行動すると、結果が悪くなることを意味します |
短気は損気 | 怒りや焦りが損失を招くことを警告しています |
急がば高火 | 急ぐあまりに過剰な行動を取ると、かえって効率が悪くなることを表します |
急ぎの文は静かに書け | 急いでいる時ほど、冷静に行動することの大切さを教えています |
早いものに上手なし | 速さだけでは、上手に物事を成し遂げることはできないという意味 |
近道は遠道 | 近道を求めるあまり、結局は遠回りになることを表します |
遠道は近道 | 遠回りのように見えても、実は最短距離であることがあるという意味 |
走れば躓く | 急ぐあまりにつまずくことを意味します |
回るは近道 | 遠回りのようでいて、実は最短であることを表します |
回るは早道 | 遠回りが結局は速道であることを意味 |
焦りは禁物 | 焦ることで良い結果は得られないという意味 |
これらのことわざは、日常生活やビジネスシーンなど、さまざまな場面で役立つ教訓を含んでいます。
「急がば回れ」の語源
室町時代の連歌師である宗長が詠んだ「もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋」という歌が、「急がば回れ」の始まりとされています。
「もののふ」とは武士のこと、「矢橋の船」は滋賀県草津市にある琵琶湖の矢橋港から大津市の石場港までを渡る船のことを言い、「瀬田の長橋」とは日本三大名橋の一つである「瀬田の唐橋」のことです。
この歌は、当時の武士が琵琶湖を横断する際の安全性を考慮して、矢橋の船よりも瀬田の長橋を渡ることを促すメッセージを含んでいます。
京都に行くには矢橋の船を使った方が速いが、琵琶湖の突風(比叡おろしと言われる比叡山から吹く強い風)による転覆の危険があるため、安全を重視して回り道を選ぶことが賢明だという意味です。
急いで行動するよりも、安全で確実な方法を選んだ方がかえって早く目的に到達できるという教訓として広く受け入れられ、「急がば回れ」ということわざとして定着しました。
江戸時代後期には、この教訓がさらに普及し、庶民にも広く浸透しました。
「急がば回れ」に関するQ&A
・「急がば回れ」を対義語は?
・「急がば回れ」を英語・その他の言語で言うと?
・「急がば回れ」の小学生にも分かる例文を紹介!
「急がば回れ」に関するよくある質問は上記の通りです。
この後、それぞれの質問について詳しく解説していきます。
「急がば回れ」の対義語は?
- 「鉄は熱いうちに打て」 – 物事は早いうちに行動を起こすべきであることを示唆する言葉。
- 「好機逸すべからず」 – 良い機会が訪れたら、それを逃さずに行動するべきだという意味を持つ。
- 「先んずれば人を制す」 – 先に行動を起こした者が有利な立場を築けるという意味で、他人よりも先んじて行動することの重要性を示す。
- 「巧遅は拙速に如かず」 – できがよくて遅いよりも、できが悪くても早いほうがいい、つまり物事はすばやく決行すべきであるという意味
- 「急がねば事が間に合わぬ」 – 物事には適切なタイミングで行動しなければ、結果が得られないことを示唆する言葉。
- 「善は急げ」 – 良いことや重要なことには速やかに取り組むべきだという意味を持つ。
「急がば回れ」を英語・中国語で言うと?
「急がば回れ」の英語表現には以下のようなものがあります:
- Make haste slowly. (ゆっくり急げ)
- Slow and steady wins the race. (遅くても確実な者がレースに勝つ)
- Haste makes waste. (急ぐと無駄が出る)
- More haste, less speed. (急ぐほどスピードは落ちます)
中国語では、
- 急功近利 (jí gōng jìn lì) – 直訳すると「急いで功を成し、利を得る」という意味で、目先の利益ばかりを追い求める近視眼的な行動を指しています。
- 欲速則不達 (yù sù zé bù dá) – 直訳すると「欲する速さは達成に至らず」となり、急いで物事を成そうとすると結局は目的を達成できないことを示唆します。
- 慢工出细活 (màn gōng chū xì huó) – 直訳すると「忍耐強い仕事が立派な仕事を生む」という意味で、ゆっくりと注意深く行動することが重要であることを強調します。
これらの表現は、急いで行動することがしばしば失敗や問題を招く可能性があることを示しています。
まとめ:「急がば回れ」の意味を理解しよう
「急がば回れ」の意味や由来、類語、英語表現などを解説しました。
意味や使い方を知っていても、語源や由来を知ることで更に理解が深まりますね。
ビジネスの場面でもプライベートでも心に留めておきたい「急がば回れ」。
焦ってしまう時ほど、他にどんな選択肢があるか一呼吸置いてじっくり見極める事が大切なのかもしれません。
実はこの考え方は科学的にも支持されています。
例えば、急いで作業をするとエラーが起きやすくなることが研究で示されています。
また、睡眠不足になると集中力が落ち、仕事の効率が悪くなることも科学的に証明されています。
つまり、急いで焦っていると感じる時には意識的にゆっくり丁寧に行動したり、早く仕事を完成しようと睡眠を削ってまでやるよりも、しっかり睡眠を取って取り組むなど、慌てずに冷静に行動する方が最終的には良い結果が得られるということです。