「人を以て鑑と為す」の意味・例文は?使い方・類義語・由来も解説!

日常生活や仕事の中で、他人の行動や言動から学ぶことは多いものです。

「人を以て鑑と為す」という言葉も、他人の姿を鏡にして自分を見つめ直すという深い意味を持っています。

この記事では、「人を以て鑑と為す」の意味や使い方を詳しく解説し、具体的な例文を紹介します。

また、類義語やこの表現の由来についても触れ、さらに英語での表現方法もご紹介します。

自分自身の成長や改善に役立つこの言葉を、ぜひ理解し、日常生活で活用してみてください。

故事「人を以て鑑と為す」の意味・読み方

他人を手本として自分の行いの善悪当否を判断する 出典:故事ことわざ辞典

「人を以て鑑と為す(ひとをもってかがみとなす)」という言葉は、他人の言動を鏡のようにして自分自身を映し出し、それを通じて自己を省み、改善することを意味します

ここでの「鑑」とは、鏡や手本のことを指します。

この表現は、他人の良い点を見習い、悪い点から教訓を得て、自己成長を図る大切さを教えてくれる言葉です。

「人を以て鑑と為す」の例文を紹介!

この章では「人を以て鑑と為す」の例文をご紹介します。

彼は「人を以て鑑と為し」、尊敬する上司の働き方を見習って、自らの仕事に取り組んでいる。
子供たちには「人を以て鑑と為す」ことの大切さを教え、友達の良い行いを見習うように促している。
彼女は常に「人を以て鑑と為し」、周りの成功者から学び、自分自身を高める努力をしている。
「人を以て鑑と為す」ことで、彼は自分の短所に気づき、改善を図ることができた。
先生は生徒に、「人を以て鑑と為す」ことが成長の鍵であると教え、他人の良い行いを見て学ぶように指導している。
彼の父は「人を以て鑑と為す」ことを大切にしており、いつも周りの人々の言動を観察して自らを修正している。
「人を以て鑑と為す」ことで、彼女は他人の成功だけでなく失敗からも多くのことを学び取ることができる。
子供たちは「人を以て鑑と為し」、親の背中を見て自分たちも同じように行動するようになった。
彼は「人を以て鑑と為す」ことを信条としており、常に周囲の良い影響を受けて成長し続けている。
社長は新入社員に「人を以て鑑と為す」ことの重要性を説き、尊敬できる先輩たちの行動を見て学ぶように勧めた。

これらの例文は、他人の行動や性格を自分の手本とし、学びを得る姿勢を示しています。

「人を以て鑑と為す」の使い方・会話例

「人を以て鑑と為す(ひとをもってかがみとなす)」は、他人の行動や態度を自分の手本とし、そこから学ぶことを意味する故事成語です。

ここでは、「人を以て鑑と為す」の使い方を分かりやすくするために、具体的な会話例とともに紹介します。

「人を以て鑑と為す」の会話例1

沙織:妹は私の失敗を見て、同じ過ちを犯さないようにしてるみたい。

浩二:それは賢いね。学ぶ姿勢が素晴らしい。

沙織:でも、私自身がもっと良いお手本にならなきゃね。妹のためにも。

浩二:そうだね。「人を以て鑑と為す」ってことだね。お互いに学び合おう。

「人を以て鑑と為す」の会話例2

部長:今回のプロジェクト、皆の協力があって成功したね。

山本:はい、特に佐藤さんのリーダーシップには感銘を受けました。私も「人を以て鑑と為し」て、彼のようになりたいです。

部長:素晴らしい姿勢だね。これからもその調子で頑張って!

「人を以て鑑と為す」の会話例3

友人A:最近、仕事で失敗ばかりしてるんだ。

友人B:そういうときこそ、「人を以て鑑と為す」ことが大切だよ。成功している同僚のやり方を参考にしてみたら?

友人A:そうだね。先輩たちの仕事ぶりを見て、自分も改善してみるよ。

「人を以て鑑と為す」の類義語

この章では、「人を以て鑑と為す」と同じ意味の言葉や類義語についてご紹介します。

類義語意味例文
人の振り見て我が振り直せ(ひとのふりみてわがふりなおせ)他人の間違いや悪い行動を見て、それを自分の身に置き換え、同じような過ちを犯さないように注意すること。
  • 職場で先輩のいいかげんな対応を見て、私も自分の態度を改める必要があると感じ、『人の振り見て我が振り直せ』と考え、より丁寧に接するように努めました。
反面教師(はんめんきょうし)悪い見本として反省や戒めの材料となる物事や人。
  • 上司の怒鳴り声を聞くたびに、私は「反面教師」として、自分は絶対に部下に対してそんな態度を取らないと心に誓いました。
他山の石(たざんのいし)他人のつまらない行為や失敗も、自分を磨くための教訓となること。
  • 友人が失敗したプロジェクトを見て、「他山の石」として、自分は同じミスを犯さないように学びました。
殷鑑遠からず(いんかんとおからず)過去の出来事や他人の行動を反省材料として、自分の行動を正すこと。
  • 以前のプロジェクトでの失敗が「殷鑑遠からず」となり、今回のプロジェクトでは慎重に計画を立てました。
前車の覆るは後車の戒め(ぜんしゃのくつがえるはこうしゃのいましめ)前を行く車が転覆する様子を見て、後から来る車が同じ過ちを犯さないようにするという意味の言葉で、他人の失敗を見て自分の行動を慎重にすること。
  • 同僚の失敗を見て、「前車の覆るは後車の戒め」として、自分も同じミスをしないように注意しました。

以上のように「人を以て鑑と為す」に類する表現や関連する言葉も多く存在します。

いずれも他人の良い行いや成功から学び、自分を成長させるための重要な教訓ですが、それぞれが他人の行動から学ぶ重要性を強調しています。

「人を以て鑑と為す」の由来

ここでは「人を以て鑑と為す」という言葉の由来についてご紹介します。

この言葉は他人の行動や態度を手本にして自己改善を図るという意味の故事成語で、由来は、中国の唐代にまでさかのぼります。

以下にその背景と由来について詳しくご説明します。

出典は『唐書』魏徴伝から

この故事成語の出典は、中国の歴史書である『唐書』の魏徴伝(ぎちょうでん)です。

魏徴(ぎちょう)は唐の初期に仕えた名臣であり、その直言(率直な忠告)は皇帝である太宗(李世民:りせいみん)にも恐れられるほどでした。

その魏徴が無くなった時に、太宗は朝廷で次のように述べたと言われています。

  • 以銅為鑑、可正衣冠。銅を鑑とすれば、衣服や冠を正すことができる。
  • 以古為鑑、可知興替。過去の歴史を鑑とすれば、興亡の跡を知ることができる。
  • 以人為鑑、可明得失。人を鑑とすれば、言動の得失について明らかにすることができる。

太宗はこれらの「三つの鑑」を持っており、自分自身の過ちを防ぐために利用していたと述べました。

そして、魏徴の死に際し、「今、魏徴逝き、一鑑亡う」と嘆きました。

これは、魏徴という優れた人材を失うことが、まるで重要な鑑を一つ失うかのような大きな損失であることを示しています。

鑑の意味

ここでの「鑑」とは、単に鏡という意味だけでなく、手本や模範としての意味も持っています。

太宗にとって、魏徴は行動や態度を見習うべき模範であり、彼の存在は太宗自身の行動を正すための重要な指針でした。

このように、人を見本として自分の行動を見直し、改善することを「人を以て鑑と為す」と表現するようになったのです。

 

「人を以て鑑と為す」は、他人の良い行いや成功を手本にし、自分を成長させるための重要な教訓を含んでいます。

現代においても、この教訓は自己改善や自己成長を促すために非常に有用です。

他人の行動や態度を観察し、そこから学ぶ姿勢を持つことで、自分自身をより良くすることができる。

この故事成語を理解し、日常生活やビジネスシーンで活用することで、自己改善と成長を図ることができるのです。

他人の行動を手本にし、自らの行動を振り返る姿勢を持ち続けることが大切ですね。

「人を以て鑑と為す」に関するQ&A

・「人を以て鑑と為す」の対義語は?

・「人を以て鑑と為す」を英語で言うと?

「人を以て鑑と為す」に関するよくある疑問は上記の通りです。

ここからそれぞれの疑問について詳しく解説していきます。

「人を以て鑑と為す」の対義語は?

「人を以て鑑と為す」に対する対義語は、自らの行動や思考を見直すことを放棄したり、他人の良い点や悪い点から学ばず、自分勝手に行動する姿勢を示す表現になります。

以下に「人を以て鑑と為す」の対義語とその意味、例文について紹介します。

対義語意味例文
独断専行(どくだんせんこう)他人の意見を無視して、自分一人の判断で物事を決めて行動することを意味します。
この言葉は、他人の行動や意見を鑑とすることなく、自分勝手に行動することを示しており、「人を以て鑑と為す」とは正反対の姿勢を表しています。
  • 彼の独断専行の結果、プロジェクトは大きな失敗に終わった。他人の意見を聞き入れていれば、違う結果になったかもしれない。
  • 部長の独断専行が続き、チームの士気が低下している。やはり他人の意見を参考にすることも大切だ。
我が道を行く(わがみちをゆく)自分の信念や価値観に基づいて行動し、他人の意見や評価を気にしないことを意味します。自己信念に従って独自の道を歩む姿勢を示しており、必ずしも他人を見下すわけではありません。
  • 彼は我が道を行くタイプで、周りの意見に左右されない。
  • 自分の信念を持ち続けて我が道を行くことも大切だが、時には柔軟性も必要だ。
天狗になる(てんぐになる)自分の能力や成功に自信過剰になり、他人の意見や助言を無視するようになることを意味します。自己中心的な態度を取り、他人から学ぶ姿勢を失うことを示しています。
  • 最近、彼は少し成功しただけで天狗になっている。周囲の意見を全く聞かなくなった。
  • 天狗になると、周りの助けを失い、結局は自分が困ることになる。他人から学ぶ姿勢を忘れてはいけない。
唯我独尊(ゆいがどくそん)自分だけが尊い存在であり、他の誰よりも優れていると感じることを意味します。自己中心的で他人を見下す態度を強調することが多いです。
  • 彼は少し成功しただけで唯我独尊の態度を取り始め、他人の意見を全く聞かなくなった。
  • 唯我独尊の精神で周りの意見を無視すると、人間関係が悪化することがある。

「人を以て鑑と為す」を英語で言うと?

「人を以て鑑と為す」を英語で表現するには、いくつかの適切なフレーズがあります。

以下にその例を挙げます。

英文意味例文
Learn from others.他人から学ぶIt’s important to learn from others to improve ourselves.
(自己改善のために他人から学ぶことが重要です。)
Take others as a model.他人を手本とするWe should take others as a model to guide our actions and decisions.
(私たちは自分の行動や決断の指針として他人を手本にするべきです。)
Use others as a mirror.他人を鏡として用いるBy using others as a mirror, we can reflect on our own behavior and make improvements.(他人を鏡として用いることで、自分の行動を振り返り、改善することができます。)

まとめ:「人を以て鑑と為す」の意味・例文を理解しよう

「人を以て鑑と為す」は、他人の言動を手本として自己改善を図る教訓です。

この言葉は、人間関係やビジネス、教育など様々な場面で重要な意味を持ちます。

他人の良い点を学び取り、悪い点を戒めとして自己を振り返ることで、謙虚になって成長することができます。

他人の行動を鑑とし、自己を磨くことは、常に新たな学びと成長の機会を与えてくれます。

どんな状況でも、謙虚に他者から学ぶ姿勢を持つことで、より豊かな人生を築くことができるでしょう。