「郷に入っては郷に従え」の意味・使い方は?例文・類義語・語源についても解説!

「郷に入っては郷に従え」ということわざは、新天地での立ち振る舞い方の教訓として幅広く使われています

この教訓は、部署異動や転職・転勤など、新しい環境に身を置く際に特に重要です。

「郷に入っては郷に従え」と言葉は、その土地や組織の習慣や風習に従うことが、適応力やコミュニケーション能力を高めるための基本的な心得であると教えてくれます。

古くは江戸時代の教科書にまで遡ることができるこの言葉は、今もなおビジネスシーンや日常生活で頻繁に用いられています。

本記事では、「郷に入っては郷に従え」ということわざのの意味や使い方を詳しく解説し、類義語や語源についても探っていきます。

「郷に入っては郷に従え」の意味と正しい読み方

意味:「その土地に行ったら、そこの習慣に従うべきだ」 出典:デイリーコンサイス国語辞典

「郷に入っては郷に従え」とは、新しい環境や土地に身を置いた際に、その地域や集団の習慣や文化に敬意を払い、それに適応することが重要であるという教えを示しています。

正しい読み方は「ごうにいってはごうにしたがえ」であり、「ごうにはいっては・・・」でない事に注意しましょう。

このことわざが重要な理由は、新しい場所や環境においては、周囲の人々と円滑な関係を築くためには、その地域や集団の習慣や文化に適応することが欠かせないからです。

自分のやり方や価値観を押し付けるのではなく、まずは周囲の状況や人々のニーズに敏感に対応することが求められます。

たとえば、新しい職場に入った場合、その職場のルールや文化に従うことが求められます。

自分のやり方や考え方が正しいと主張するのではなく、まずは周囲の人々とのコミュニケーションを図り、組織に適応する努力が必要です。

この教えを実践することで、新しい環境に適応し、円滑な人間関係を築くことができます。

また、異なる文化や価値観を尊重し、柔軟な思考や対応力を身につけることもできます。

このように、「郷に入っては郷に従え」という教えは、新しい環境に適応し、成功への近道を見つけるための基本的な心得であると言えます。

「郷に入っては郷に従え」の使い方・注意点

「郷に入っては郷に従え」ということわざは、新しい環境に適応する際の重要な考え方を示しています。

このことわざは、異なる場所や状況に適応するための普遍的な原則を表しており、ビジネス、社会、個人のレベルで幅広く適用されています。

以下では、「郷に入っては郷に従え」の使い方とその重要性について詳しく説明します。

  • 新しい環境への適応: 新しい場所や組織に参加する際、その土地や組織の文化や慣習に従うことが重要です。
    これは、新しい環境で円滑な関係を築くために必要な第一歩です。
    異なる環境には異なるルールや期待が存在し、その土地の人々との良好な関係を築くためには、それに従うことが不可欠です。
  • ビジネスシーンでの活用: ビジネスの世界でも、「郷に入っては郷に従え」の原則は重要です。
    新しい職場やチームに参加する際には、組織の文化やプロトコルに合わせて行動することが求められます。
    それによって、チームの一員としての信頼を築き、仕事を円滑に進めることができます。
  • 個人的な適応力の向上: 個人のレベルでも、「郷に入っては郷に従え」の考え方は重要です。
    新しい環境や社会集団に適応するためには、自分のやり方や考え方を柔軟に変える必要があります。
    これによって、新しい人間関係を築き、新たな経験を積むことができます。
  • 文化的な理解と尊重: このことわざは、異なる文化や環境を理解し、尊重することの重要性も示しています。
    他者の文化や習慣に対して開かれた姿勢を持ち、それに従うことで、より豊かな人間関係を築くことができます。

以上のように、「郷に入っては郷に従え」は、新しい環境に適応するための重要な原則であり、ビジネスや個人の成功に不可欠な考え方です。

異なる状況に適応する柔軟性と、他者の文化や習慣に対するリスペクトを持ちながら、自らの成長と周囲との調和を図ることが重要です。

「郷に入っては郷に従え」の例文

この項目では、「郷に入っては郷に従え」ということわざを使った例文をいくつかご紹介します。

海外旅行先では、言葉の通じない場面もあるが、「郷に入っては郷に従え」の精神で現地の人々とコミュニケーションをとる努力を惜しまないつもりだ。
新しく入った部署では、仕事の進め方や決定権のあり方が異なるかもしれないが、「郷に入っては郷に従え」で、先輩たちの指導を受けつつ、自分の役割を果たしていこう。
地元の文化祭ではなじみのない行事があるかもしれないが、「郷に入れば郷に従え」の気持ちで積極的に参加し、地域の人々と交流を深めてみよう。
田舎暮らしには都会とは異なるルールや慣習があるが、「郷に入っては郷に従え」で、ゆっくりとした生活のリズムに慣れていくことが大切だ。
新しい学校に転校したばかりで、クラスの雰囲気や授業の進行方法に戸惑うこともあるが、「郷に入っては郷に従え」で、先生やクラスメイトに協力しよう。
就活中には様々な企業の選考方法に遭遇するが、「郷に入れば郷に従え」の姿勢で、それぞれの企業のルールに沿って面接や試験に臨もう。
新しい趣味やスポーツに挑戦する際には、その分野の先輩や経験者のアドバイスに従うことが重要だ。「郷に入っては郷に従え」の精神で、上達を目指そう。
友人の異文化のイベントに誘われた際には、「郷に入っては郷に従え」で、その文化や習慣に敬意を払い、楽しんで参加しよう。
自分の意見やアイデアが受け入れられない場面でも、「郷に入っては郷に従え」の考え方で、チームやグループの方針に沿って協力し、一丸となって目標に向かおう。
新しい転勤先の街では新しい食文化や地元の特産品に触れる機会が増えるが、「郷に入っては郷に従え」の精神で地元の味覚を楽しみ、地域の食文化に敬意を払おう。

「郷に入っては郷に従え」の類義語

「郷に入っては郷に従え」ということわざの類義語には、文化や環境に適応することの重要性を示すさまざまな表現が存在します。

以下に、それらの類義語を紹介しましょう。

俗に入っては俗に従えこのことわざは、「郷に入っては郷に従え」と意味や使い方が非常に似ています。
新しい環境や社会に適応するために、その地域や集団の慣習やルールに従うべきだという意味が込められています。【例文】:・「俗に入っては俗に従えというように、まずは新しい職場のやり方を取り入れてみることが大切だよ。」
・「俗に入っては俗に従えというが、どうしてもその地域の慣習には馴染めない。」
所の法に矢は立たぬこの表現は、特定の地域や集団の習慣や法律に従う必要があることを指摘しています。
時には道理に合わないと感じることもあるかもしれませんが、その地域のルールに従うことが大切であることを示しています。【例文】:・「村の集会に出なくてはならないのだが、今月は繁忙期で仕事が忙しい。ただ、所の法に矢は立たずということで、何とか調整して出席しよう。」・「所の法に矢は立たずと言うでしょう。とりあえず、地域の祭りには参加しておいた方がいい。」
国に入ってはまず禁を問えこの表現は、異なる国や地域に入った場合には、まずその地域の法律や規則を把握し、それに従うべきだという意味を持ちます。
異文化間の摩擦を避けるためには、地域のルールに従うことが必要です。例文:・「国に入ってはまず禁を問えというように、海外に行ったらその国の法律や規則を知ることが大切だよ。」・「アメリカに留学した時には、国に入ってはまず禁を問えを心がけて生活していた。」
人の踊るときは踊れ他人が何かを楽しんでいるときには、自分もその活動やイベントに積極的に参加し、一体感を共有するべきだという教え。

例文:「友人たちがカラオケに行くことになったので、私も一緒に行くことにした。私は歌が苦手だけれど、人の踊るときは踊れ、ということだからね。」

所変われば品変わる場所や環境が変われば人々の行動や態度も変わることを指摘しています。

例文:「地方に出張したとき、地元の人たちとの商談では押し付けがましくなく、ゆったりとした態度が求められた。所変われば品変わる、ということだ。」

これらの類義語や類似の表現は、「郷に入っては郷に従え」と同様に、新しい環境や文化に適応するための重要な指針となります。

異なる社会や文化に対応する際には、これらの言葉を参考にして柔軟に行動するすると良いでしょう。

「郷に入っては郷に従え」の語源

「郷に入っては郷に従え」ということわざの語源は、中国語のことわざ「入郷随俗」にあります。

この言葉は、中国禅宗の歴史書『五灯会元』に見られる句「且道入鄉隨俗一句作麼生道」がその元となっています。

この句は「郷に入れば郷に従え」という意味であり、新しい場所に行ったらその土地の習慣に従うべきだという教えを表しています。

日本では、この中国のことわざが鎌倉時代から明治時代中期頃まで使用されていた初等教育用書籍『童子教』に引用され、「入郷而従郷、入俗而随俗」という一節が記載されています。

この文言は「郷に入っては郷に従え」と同じ意味であり、新しい場所や環境に入ったらその地の習慣や風俗に従うべきだという教訓を伝えています。

「郷に入っては郷に従え」ということわざは、人々に異なる地域や文化との交流において、相手の環境や慣習に対して敬意を持ち、適切に対応することの重要性を教えます。

異なる地域や文化に訪れた際には、自らの考えや習慣だけでなく、相手の立場や文化を尊重し、適切な対応をすることが求められます。

このような態度は、異文化間の理解と協力を促進し、円滑なコミュニケーションを築く上で欠かせないものですね。

「郷に入っては郷に従え」に関するQ&A

・「郷に入っては郷に従え」を対義語は?

・「郷に入っては郷に従え」を英語・中国語で言うと?

「郷に入っては郷に従え」に関するよくある疑問は上記の通りです。

ここからそれぞれの疑問について詳しく解説していきます。

「郷に入っては郷に従え」の対義語は?

「郷に入っては郷に従え」に対する対義語のことわざは無いのですが、四字熟語として「独立独歩」と「唯我独尊」という言葉があります。

これらは、個々の自己主張や独自の考え方を強調する態度を表す言葉ですが、以下にそれぞれの意味と特徴を詳しく説明します。

  • 独立独歩

「独立独歩」とは、自立心を持ち、自分の意志や考えに基づいて行動することを意味します。

個々の人間が独自の考えや信念に基づいて行動することを重視し、他者や外部の影響を受けずに自己決定を行う姿勢を指します。

この態度は、独自のアイデンティティや価値観を尊重し、他者とは異なる独自のスタンスを持つことを示します。

独立独歩の人は、自分の信念や目標に従って行動し、他人の意見や社会の期待に左右されずに自分の人生を生きようとします。

  • 唯我独尊

「唯我独尊」とは、自己中心的で自己主張が強く、他人や外部の意見を無視する態度を表します。

この言葉は、自己中心的な態度や傲慢な態度を批判する際に使われることが多いです。

唯我独尊の人は、自分の意見や価値観を絶対的なものとして捉え、他人の意見や考えを尊重せず、自分の意志や欲求を最優先に考える傾向があります。

そのため、他人との協力やコミュニケーションが難しくなり、対人関係において問題を引き起こすことがあります。

「郷に入っては郷に従え」ということわざは、新しい環境や社会においては、その土地の習慣や文化に適応し、他者との調和を大切にする姿勢を示しています。

一方、「独立独歩」と「唯我独尊」は、個々の自己主張や独自の考え方を強調する態度を表し、他者や外部の影響を受けずに自己決定を行うことを重視しています。

「郷に入っては郷に従え」を英語・中国語で言うと?

“郷に入っては郷に従え”という日本語のことわざは、英語では次のように表現されます。

“When in Rome, do as the Romans do.”

直訳すると「ローマにいる時にはローマ人のようにしなさい。」となります

「その土地やその環境に入ったならば、そこでの習慣ややり方に従うのが良い。」という意味で、 4世紀頃のローマ帝国の神学者、アウグスティヌスの言葉です。

新しい場所や環境に身を置いた際には、その土地の習慣や慣例に従うべきだという意味を表しています。

このことわざは、異なる文化や環境に適応する際に生じる課題に対処するための指針として広く知られています。

その他に英語では次のような言葉もあります。

“Every country has its law.”

この言い回しは、「あらゆる国にはその国特有の法律や規則が存在する」という意味を表しています。

異なる国や地域に移動する際には、その土地の法律や規則に従うことが重要であり、他国の法律や習慣を尊重する必要があります。

この言葉は、異文化間の理解と尊重を促し、国際的なコミュニケーションや協力を促進するための重要な原則を示しています。

国境を越える際には、他国の法律や規則を尊重し、その土地での行動を適切に調整することが求められます。

 

次に「郷に入っては郷に従え」という日本のことわざに相当する中国語の表現は、

「入郷随俗(rù xiāng suí sú)」

です。

この言葉は、中国の禅宗の歴史書『五灯会元』にも登場し、中国の古典や教訓の一部として広く知られています。

新しい環境に適応するためには、その土地の慣習や文化に敬意を払い、それに従うことが重要であるという普遍的なメッセージを持っています。

まとめ:「郷に入っては郷に従え」の意味を理解しよう

以上「郷に入っては郷に従え」の意味や由来、類語、英語・中国語での表現などを解説しました。

「郷に入っては郷に従え」ということわざは、新しい環境や場所において、その土地の風習や慣習に従うことの重要性を示しています。

新しい環境に身を置くと、今までとは異なる文化や習慣が目につき、受け入れるのが難しいこともあるかもしれません。

しかし、「郷に入っては郷に従え」は、自分のやり方や価値観との違いを指摘するよりも、まずは周囲の人々とコミュニケーションをとり、その場の雰囲気や空気感を理解しようとする姿勢を示すことの重要性を強調しています。

新しい環境においては、自分のやり方にこだわることよりも、まずは周囲の人々との協力関係を築くことが大切です。

自分の意見や主張を押し付けるのではなく、柔軟な姿勢で周囲との調和を図ることで、円滑な人間関係を築くことができます。

「郷に入っては郷に従え」は、新しい環境において自分を受け入れてもらうためには、まずはその土地の文化や習慣に従うことが重要であると教えています。

新しい場所や環境に身を置く際には、自分のやり方や価値観にこだわるのではなく、まずはその土地の習慣や文化に敬意を払い、柔軟な姿勢で周囲との関係を築くことを心がけましょう。