「五里霧中」という言葉を聞いたことはありますか?
何かを考えても答えが見えず、迷ってしまうような状況で使われることの多い表現です。
日常会話はもちろん、ビジネスシーンやニュースなどでも目にする機会があります。
本記事では、「五里霧中」の由来や使い方、類義語・対義語、英語・中国語での表現まで詳しく解説します。
正しい意味を理解し、適切な場面で活用できるようにしましょう!
「五里霧中」とは?意味・読み方を解説
意味:迷って考えがまとまらないこと。※濃霧の中で、方角がわからない意。出典:デイリーコンサイス国語辞典
「五里霧中(ごりむちゅう)」は、霧が深く立ち込めて周囲の様子が分からないような状況をたとえた四字熟語です。
転じて、物事の真相が分からず、どうすればよいのか見当もつかない状態を指します。
この言葉は、主に次のような場面で使われます。
進むべき方向が分からず迷っているとき
複雑な問題に直面し、解決策が見つからないとき
状況が不透明で、手探りで進むしかないとき
「五里霧中」の漢字の意味を見ても「五里先まで霧に包まれている」ことを表しています。
まさに視界が利かず、判断がつかない状態を言い表していることが分かります。
「五里霧中 」の例文・使い方
ここでは、「五里霧中」の日常会話やビジネスシーンでの具体的な使い方を例文とともに紹介します。
日常生活での使い方
ビジネスシーンでの使い方
ニュース・時事問題での使い方
「五里霧中」は、見通しが立たず、どうすればよいか分からない状況 を表す言葉として、さまざまな場面で使われます。
特に、個人の迷いや混乱、組織の判断の難しさ、社会の不透明さ を表現するのに適した言葉です。
次の章では、「五里霧中」の類義語や言い換え表現について詳しく解説します。
「五里霧中 」の同義語・言い換えや類義語は?
本章では、「五里霧中」の類義語や言い換え表現を紹介します。
類似語・同義語・言い換え | 意味 | 例文 |
暗中模索(あんちゅうもさく) | 手がかりがないまま、手探りで物事を進めること。「五里霧中」は状況が不透明であることを表し、「暗中模索」はその中で何とか解決策を探るニュアンスがある。 | 事業の方向性が見えず、暗中模索の状態が続いている。 |
雲をつかむよう(くもをつかむよう) | 何かが漠然としていて、具体的なイメージがつかめないこと。「五里霧中」は判断ができない状況を指し、「雲をつかむよう」は不確かで捉えどころがない状態を強調する。 | 彼の話は抽象的すぎて、まるで雲をつかむようだ。 |
途方に暮れる(とほうにくれる) | どうすればいいか分からず、困り果てること。「五里霧中」は状況が不透明なことを表し、「途方に暮れる」はその結果として困惑する気持ちを強調する。 | 突然のトラブルに見舞われ、私はすっかり途方に暮れてしまった。 |
右も左も分からない(みぎもひだりもわからない) | 何も分からず、どう行動すればいいのかさえ分からないこと。「五里霧中」と似ているが、特に新しい環境に飛び込んだ際の混乱を表すのに使われる。 | 新しい職場に入ったばかりで、右も左も分からない状態だ。 |
「五里霧中 」の由来・語源は?
「五里霧中」の由来は、中国の歴史書『後漢書(ごかんじょ)』に記された故事に基づいています。
後漢(25年~220年)の時代に、張楷(ちょうかい)という人物がいました。
彼は漢籍※1に精通し、高潔で官職を嫌い、俗世を離れて山中に隠居していたと言われています。
張楷は道術※2を好み、五里四方にわたって霧を発生させることができる特殊な能力を持っていました。
同じころ、関西(かんせい)※4には裴優(はいゆう)という道術使いがいて、彼も霧を起こす術を持っていましたが、その範囲は三里に限られていました。
裴優は自分が張楷に及ばないと悟ると、張楷に弟子入りを願いましたが、拒絶されてしまいます。
その後、裴優は霧を使って盗みを働きました。捕まった際、彼は張楷から術を学んだと嘘をついたため、張楷も捕らえられてしまいました。
しかし、張楷はそれに動じることなく獄中で読書に励み、『尚書』※3の注釈書を完成させました。
2年後、証拠がないとして釈放され、家に戻ることが許されたと伝えられています。
この故事から、「五里霧中」という言葉が生まれ、「霧の中にいるように方針が定まらず、見通しが立たない状態」を表すようになったのです。
※1 漢籍(かんせき):中国で書かれた古典籍や歴史書、儒教の経典などの書物の総称。特に、日本に伝来して学問の基礎とされた中国の書籍を指すことが多い。
※2 道術(どうじゅつ):道教に関連する秘術や超自然的な技。気の流れを操る術や不老長寿の秘法、呪術などが含まれる。
※3 尚書(しょうしょ):古代中国の政治・歴史・思想を記した書物で、五経(『詩経』『書経(尚書)』『礼記』『易経』『春秋』)の一つとされる。
※4 関西(かんせい):古代中国で、函谷関(かんこくかん)より西の地域を指す地名。現在の中国の陝西省(せんせいしょう)付近にあたる。
「五里霧中 」に関するQ&A
- 「五里霧中 」の反対語・対義語は?
- 「五里霧中 」を英語、中国語で言うと?
「五里霧中 」に関するよくある疑問は上記の通りです。
これらの疑問についてこの後詳しく解説していきます。
「五里霧中」の反対語・対義語は?
ここでは、「五里霧中」の反対語や対義語にはどのようなものがあるか、まとめてみました。
反対語・対義語 | 意味 | 例文 |
雲外蒼天(うんがいそうてん) | 困難を乗り越えた先には、明るい未来が開けること。暗闇の中でも希望を持てることを示します。 | 長い間の努力が実を結び、ついに雲外蒼天を迎えた。 |
豁然大悟(かつぜんたいご) | 突然すべてを理解し、はっきりと悟ること。疑問や混乱が一気に晴れる様子を表します。 | 長時間悩んでいた問題について、突然豁然大悟した。 |
明鏡止水(めいきょうしすい)」 | 曇りのない鏡や静かな水面のように、心が澄みきって迷いのない状態を表します。 | 瞑想をして心が明鏡止水のように静まった。 |
氷解(ひょうかい) | 疑念や誤解が解け、物事が明確になること。「五里霧中」の霧が晴れるような状況を示します。 | 誤解が氷解して、すっかり関係が改善された。 |
洞察(どうさつ} | 物事の本質を見抜き、正しい判断を下すこと。「五里霧中」のように迷うのではなく、鋭い観察眼を持っている状態。 | 彼の洞察力のおかげで、問題の本質がすぐに分かった。 |
一目瞭然(いちもくりょうぜん) | ひと目見ただけで、すべてが明らかにわかること。視界がはっきりとしている様子を表します。 | この資料を見れば、一目瞭然で問題点が分かるだろう。 |
「五里霧中」は、迷いや混乱の状態を指す言葉ですが、これらの反対語・対義語は、視界が開けて明確に理解できる状態や、心が落ち着いている状態を示しています。
状況に応じて適切な表現を使い分けましょう。
「五里霧中」を英語・中国語で言うと?
「五里霧中」という言葉を英語や中国語でどのように表現するのでしょうか。
以下に、英語と中国語での対応する表現を紹介し、意味や例文を合わせて解説します。
英語表現 | 意味 | 例文 |
In a fog | 霧の中にいるように、物事が不明確で先が見えない状態を指します。 | After the company’s sudden departure from the market, we were all in a fog about the future of the business.(会社が突然市場から撤退した後、私たちはみんなその後のビジネスの未来について霧の中にいた。) |
In the dark | 情報が不足しており、何が起こっているのか、何をすべきかが分からない状態。 | The team was in the dark about the new project, as they hadn’t received any instructions.(チームは新しいプロジェクトについて、指示を受けていなかったので何もわからない状態だった。) |
A shot in the dark | 当てずっぽ。情報がほとんどなく、結果が不確定な状態で行動すること。 | Trying to solve the problem without any data is like taking a shot in the dark. (データなしで問題を解決しようとするのは、暗闇での一か八かの試みのようなものだ。) |
中国語表現 | 意味 | 例文 |
雾里看花(wù lǐ kàn huā) | 霧の中から花を見るように、物事がはっきり見えない状態を示す表現。 | 他的解释让我感觉就像是雾里看花,根本不清楚事情的真相。 (彼の説明はまるで霧の中から花を見るようで、状況の真実が全くわからなかった。) |
摸不着头脑(mō bù zháo tóu nǎo) | 頭を打っているように、何がどうなっているのか全くわからない状態を指します。 | 我对这个计划完全摸不着头脑,不知道该怎么办。 (この計画について全く理解できず、どうすべきかわからない。) |
前途茫茫(qiántú mángmáng) | 未来が不確定で見通しが立たないこと。 | 面对如此复杂的局势,我们的前途茫茫,不知道该如何前进。 (こんなに複雑な状況に直面して、私たちの未来は不確定で、どう進むべきか分からない。) |
このように、「五里霧中」という表現は、英語や中国語にも同様のニュアンスを持った言葉があり、どれも不明確で見通しが立たない状況を指すのに使われます。
状況や文脈に応じて使い分けましょう。
まとめ:「五里霧中」の意味・使い方を正しく理解しよう
「五里霧中」は、物事が不明確で先が見えない状態を意味します。
人生にも霧の中にいるような不安な時期はありますが、そんな時こそ焦らず、着実に前進することが重要です。
霧が晴れると、視界が広がり、新たな発見が待っています。
どんなに先が見えなくても、一歩ずつ進むことで風景が変わり、明確な道が見えてくるかもしれません。
だからこそ、迷いや不安に押しつぶされそうになっても、目の前のできることから一歩一歩踏み出していきましょう。