「海老で鯛を釣る」とは?意味・使い方・例文・類義語・由来を解説!

「海老で鯛を釣る(えびでたいをつる)」って、ちょっとふしぎなことばですよね。

海老(えび)をエサにして、大きな鯛(たい)をつる…?

これは、本当に魚をつるときの話ではなく、ことわざという、昔から使われている言いまわしなんです。

このことわざは、ふだんの会話や勉強でもよく出てきます。

この記事では、「海老で鯛を釣る」の意味や使い方、たとえばどんな場面で使うのかなどを、やさしくわかりやすく紹介します。

まずは、どんな意味があるのかを見てみましょう!

「海老で鯛を釣る」の意味と読み方

意味:わずかな元手で大きな利益を得る。えびたい。出典:デイリーコンサイス国語辞典

「海老で鯛を釣る(えびでたいをつる)」とは、わずかな労力や費用で、大きな成果や利益を得ることを表すことわざです。

たとえば、ちょっとしたプレゼントや行動が思いがけず相手に喜ばれ、想像以上の見返りが返ってきた――そんなときに「海老で鯛を釣る」という表現が使われます。

この言葉は、もともと小さなエビをエサにして、立派な鯛を釣り上げる漁の様子に由来しています。

つまり、「たいしたものを差し出していないのに、それ以上の見返りを得る」というたとえなのです。

書き方の注意点としては、「釣る」は「吊る」ではなく、魚釣りの「釣る」を使うのが正しい表記です。

「海老で鯛を釣る 」の例文・使い方

「海老で鯛を釣る」は、日常会話でも使えることわざです。

特に、少ない努力や出費で、大きな成果や見返りを得たときによく使われます。

では、実際にどのような場面で使われるのか、例文を見ながら確認してみましょう。

たった500円のチョコを渡しただけなのに、彼女から高級な時計をもらっちゃったよ。まさに海老で鯛を釣るだね。
ちょっとしたアイデアをメールで送っただけなのに、先方の社長が気に入ってくれて大きな契約につながった。これは海老で鯛を釣る結果になったな。
旅行のクチコミを書いたら、なんと無料宿泊券が当選!完全に海老で鯛を釣った気分♪

小学生向けの例文も下記に挙げましたので、参考にしてください。

あまり人気のないポケモンカードを友達にあげたら、図書カードをもらっちゃった!まるで海老で鯛を釣ったみたい!
学校の掃除を手伝ったら、先生がアイスをおごってくれた。ぼく、海老で鯛を釣ったかも!
ちょっとお手伝いしただけで、おばあちゃんがケーキを買ってくれた。海老で鯛を釣った気分だなあ。

■ 使い方のポイント

基本的に肯定的・ポジティブな意味で使われます。

自分のことに使ってもOKですが、少し冗談っぽく軽いニュアンスで使うと自然です。

相手を責めたりバカにするような使い方は避けましょう。

「海老で鯛を釣る」の同義語・言い換えや類義語は?

「海老で鯛を釣る」(えびでたいをつる)と同じような意味をもつことわざや慣用句は、他にもいくつか存在します。

ここでは「海老で鯛を釣る」と似た意味の言葉を紹介し、それぞれの特徴や使い方についても簡単に解説します。

同義語・言い換えや類義語意味例文
濡れ手で粟(ぬれてであわ)手が濡れているだけで粟(あわ)がくっついてくる様子から、何も苦労せずに大きな利益を得ることのたとえ。 やや偶然や運の要素が強い点が特徴です。バイトの応募を出しただけで採用&ボーナスまで!濡れ手で粟とはこのこと。
棚からぼたもち(たなからぼたもち)棚から落ちてきたぼたもちを偶然手に入れるように、思いがけずラッキーな得をすること。 努力せずに得た成果というニュアンスが強めです。くじを引いたら1等が当たった!まさに棚からぼたもちだよ。
一石二鳥(いっせきにちょう)1つの行動で2つの成果を得ること。厳密には意味が異なりますが、少ない努力で多くの結果を得るという点で共通しています。散歩しながらゴミ拾いもできるなんて、一石二鳥だね。
麦飯で鯉を釣る(むぎめしでこいをつる)価値の低いものを使って、価値の高いものを得ることのたとえ。「海老で鯛を釣る」とほぼ同じ意味で使われることもあります。中古のゲームを格安で売ったら、思わぬ高値がついた。麦飯で鯉を釣ったような話だ。
蝦蛄で鯛を釣る(しゃこでたいをつる)蝦蛄はエビの一種ですが、エビやカニに比べると一般的にはやや“格下”のイメージを持たれることが多いです。そこでさらに価値の低そうなもの(蝦蛄)で価値の高いもの(鯛)を得るたとえで、「麦飯で鯉」よりも「どうしてそんなもので!?」という意外性・驚き・逆転劇の印象が強くなります。ノートに描いた落書きがSNSでバズって仕事の依頼まで来た!まるで蝦蛄で鯛を釣るような話だ。
一攫千金(いっかくせんきん)一度のチャンスで、大きな利益を得ること。宝くじや投資など、偶然の要素が強く含まれます。仮想通貨に少し投資しただけで、大金を手に入れたなんて一攫千金だね。
一粒万倍(いちりゅうまんばい)わずかなものが、後に何倍にも増えて大きな成果になること。努力や継続的な行動の結果としての成功に使われます。最初の一歩が一粒万倍になるよう、今できることから始めよう。
わらしべ長者(わらしべちょうじゃ)小さなものから始めて、最終的に大きな富を得ること。物語的な成長や工夫が重視される表現です。フリマアプリで要らない本を売ったのがきっかけで、ビジネスを始めて成功!現代のわらしべ長者だね。
瓢箪から駒(ひょうたんからこま)ありえないことから素晴らしい結果が出ること。奇跡的な出来事や、予想外の成果を表します。冗談で応募したコンテストにまさかの当選!これは瓢箪から駒だよ。

● 言い換え表現・日常的な言い方

「海老で鯛を釣る」は、会話や文章の中では次のように言い換えることもできます:

  • 少ないコストで大きなリターンを得る
  • 安く済ませて高い見返りをもらう
  • 小さな努力で大成功を収める
  • ラッキーすぎる成果を手に入れる

ビジネスやマーケティングの場では、

「費用対効果が高い」、「投資対効果が良い」

などの言葉に置き換えられて使われることもあります。

「海老で鯛を釣る 」の由来・語源は?

「海老で鯛を釣る」という表現は、日本の伝統的な漁業や食文化に深く関わりがあると言われています。

海老は日本では古くから食材として親しまれており、その小さな体から得られる大きな価値(美味しさや栄養)に重きを置かれてきました。

一般的に海老は、日常的な食事に使われることが多く、特別な料理に使われる高級食材ではありません。

鯛は、日本では祝い事や特別な場に出される高級魚の象徴です。鯛を釣るためには、技術的にも時間と労力がかかり、そう簡単には釣れません。

このことわざの背景には、比較的安価で手に入る海老を使って、高価な鯛を得るという状況が描かれています。

言い換えると、「少ない努力で大きな成果を得る」という発想が込められているのです。

語源については、昔漁師たちが鯛を釣るために工夫を凝らしていたときに、海老のような小さな餌を使って、思いがけず大きな鯛を釣り上げるという事例があったとされています。

これが、人々の間で話題になり、やがて「海老で鯛を釣る」という表現が広まったと考えられています。

また、江戸時代には、「鯛を釣るには海老を使う」といった実際の漁法も存在しており、海老のような小さな餌で、思いもよらぬ大きな収穫を得ることができるという意味が自然に生まれたとされています。

「海老で鯛を釣る 」に関するQ&A

  • 「海老で鯛を釣る 」の対義語は?
  • 「海老で鯛を釣る 」を英語、中国語で言うと?

「海老で鯛を釣る 」に関するよくある疑問は上記の通りです。

ここからそれぞれの疑問について詳しく解説していきます。

「海老で鯛を釣る 」の対義語は?

「海老で鯛を釣る」は、少ない投資や努力で思いがけないほどの大きな成果を得るという意味のことわざです。

それに対して、「大きな努力に見合う成果が得られなかった」「期待が外れた」など、逆の意味をもつことわざも多数存在します。

ここでは、それらの代表的な表現をわかりやすくまとめました。

対義語・反対語意味例文
骨折り損のくたびれ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ)一生懸命に努力したのに、成果がまったく得られなかったことを表すことわざ。苦労だけして報われない状態。何日もかけて準備したイベントが悪天候で中止に。骨折り損のくたびれ儲けとはこのことだ。
捕らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)まだ手に入っていない利益を当てにして計画を立てること。結果的に見返りがゼロになる可能性も含まれる。株で儲けるつもりでローンを組んだが、大暴落して赤字に。捕らぬ狸の皮算用だったよ。
損して得取れ(そんしてとくとれ)一見損に見えることでも、長期的には大きな利益になるという教訓。ただし短期的には「損して終わる」場合もあり、対比として挙げられることがある。最初は割引で赤字だったが、長期的には顧客が増えた。損して得取れの考え方が功を奏した。
牛刀をもって鶏を割く(ぎゅうとうをもってにわとりをさく)大げさな手段を使って、ささいなことを処理するたとえ。過剰な労力に見合わない小さな成果。簡単な作業に専門家を何人も呼ぶなんて、牛刀をもって鶏を割くようなものだ。
大山鳴動して鼠一匹(たいざんめいどうしてねずみいっぴき)大きな騒ぎや準備のわりに、得られた成果が非常に小さかったことのたとえ。大々的に発表された新製品だったけど、内容は既存モデルとほぼ同じ。大山鳴動して鼠一匹だった。
二束三文(にそくさんもん)物の価値が非常に低いことのたとえ。苦労の末に得たものがあまりに価値が低く、割に合わない状況。コレクションを手放したけれど、値段は二束三文。がっかりだった。

「海老で鯛を釣る 」を英語・中国語で言うと?

英語や中国語にもことわざ「海老で鯛を釣る」と同様の意味を持つ表現が存在します。

ここでは、それぞれの言語でどのように言い表すかを紹介します。

英語表現意味例文
To get a big return from a small investment.意味:少ない投資で大きな見返りを得る。ビジネスや投資の文脈でよく使われる表現です。He managed to get a big return from a small investment. It was like fishing for a sea bream with a shrimp.(彼は小さな投資で大きな利益を得た。まさに“エビでタイを釣る”ようなものだった。)
Throw a sprat to catch a mackerel.小魚(sprat)をエサにして、大きな魚(mackerel)を釣るというイギリスのことわざ。日本語の「海老で鯛を釣る」と非常に近い意味です。Sometimes you have to throw a sprat to catch a mackerel in business.(ビジネスでは、時に「小さな犠牲で大きな利益を得る」ことが必要だ。)
中国語表現意味例文
小虾钓大鱼(xiǎo xiā diào dà yú)小さなエビで大きな魚を釣るという直訳的な表現。日本語の意味に最も近い。他用很少的本钱做了一笔大生意,真是小虾钓大鱼
(彼はわずかな元手で大きなビジネスを成功させた。本当に“エビでタイを釣る”ような話だ。)
一本万利(yī běn wàn lì)少ない元手で大きな利益を得るという意味の成語。商売や投資でよく使われます。这个项目真是一本万利,不投可惜了。
(このプロジェクトはまさに“少ない投資で大きな利益”が得られるもので、投資しないのはもったいない。)

まとめ:「海老で鯛を釣る 」の意味・例文を理解しよう

「海老で鯛を釣る」は、少ない手間や投資で思いがけず大きな成果を得ることを表す、魅力的なことわざです。

今回の記事ではその意味や使い方、類義語・対義語、さらには英語・中国語での表現まで幅広くご紹介しました。

ただし、海老で鯛が釣れることばかりを期待して、正当な努力を怠るようなことは避けたいものです。

あまりにうまい話には慎重な姿勢を忘れずに。とはいえ、たまたま幸運が巡ってきたときには、素直にその喜びを受け止めましょう。

このことわざを通じて、日々の言動や考え方を少し振り返るきっかけになれば幸いです。